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2009年10月31日土曜日

必殺煮込み人?


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 連日、三十四歳の女詐欺師の報道が盛んだ。以前、似たような女のブログを見たことがある。自慢げに高級ブランド品や建物の権利証の写真などを載せて、読者から顰蹙を買っていた。その女は精神的にかなり病んでいるようで、見えざるストーカーの被害妄想に苦しんでいるようだった。
 さて、タイ語で「詐欺」はカーン・チョー・コーン( การฉ้อโกง )と言う。カーンは動詞に付けて名詞化する語で、チョーは「騙す, 欺く」、コーンは「不正な, 曲がった」という意味だ。
 「詐欺師」のタイ語が面白い。コン・トム・トゥン( คนต้มตุ๋น )だが、コンは「人」、トムは「煮る」、トゥンは「長く煮込む」という意味。
 いや、笑いごとではない。じわじわと時間をかけて煮込まれた男の方は悲劇だ。その上練炭まで使われたのでは、浮かばれないだろう。

2009年10月27日火曜日

日タイ対抗ロケット祭り


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 毎年、陰暦6月の雨季の初めに、タイ北部、東北部やラオスなどの村で行われる伝統的な雨乞い儀礼がある。ブン・バング・ファイ( บุญบั้งไฟ ) という「ロケット祭り」がそれだ。
 ブンはタム・ブン(徳を積む)のブン(徳)で、打ち上げるロケットのことをバング・ファイ(ファイは火) と呼ぶようだ。因みに、一般的なロケットはチャルアッ(トゥ)( จรวด )と言う。
 地区や村ごとに竹筒に火薬をつめた手製ロケットを打ち上げ、滞空時間を競い合う 。 ロケットは竹とプラスチックなどで作られ、全長5メートル、重量6キロほどあり、落下時にパラシュートが開くようになっている。(パラシュートが開かないで落下したり、発射台から水平方向に飛んだりして、たびたび死人が出る。)
 タイ東北部ヤソートン県の「ロケット祭り」には、1997年に結成された「秩父吉田ヤソトン会」のメンバーも参加している。埼玉県秩父市で行われる「龍勢まつり」は「椋神社秋の大祭」に奉納する神事で、龍勢と呼ばれる手作りロケット(通称農民ロケット)を打ち上げるのだ。二十七の流派があり、毎年三十数本の龍勢を轟音とともに天高く打ち上げる。戦国時代さながらに各流派の幟が立つが、龍勢(流星)の起源は狼煙(のろし)だ。
 また、静岡県の岡部町というところに、古くから伝わる「朝比奈大龍勢(あさひなおおりゅうせい)」という伝統行事がある。現在はニ年に一度、六社神社の祭典に合わせて、櫓から龍勢が打ち上げられている。
 日本の龍勢はただ高く飛ぶだけではなく、いろいろな仕掛けが施されている。まるで花火を見ているようで、たいへん美しい。

2009年10月26日月曜日

関係代名詞 ที่ に物申す


 
 タイ語の辞書を眺めていたら、「オナニーをする」という見出し語に目が行った。チャッ(ク)・ワオ( ชักว่าว ) とある。あれ?どこかで聞いたようなと思い、記憶を頼りに別の本のページを括ってみた。あった。「たこ(凧)を揚げる」と載っている。タイ文字も間違いなく同じだ。きっと、「男が」ということだろう。日本語だと「テントを張る」だろうか。思いがけない発見で、なんだか得をしたような気分になった。「女が」も知りたくなったが、残念ながら見当たらない。もしかしたら、女も「凧揚げ」をするのかもしれない。
 「枕」はここまでにして、本題に入ろう。最近ある疑問が虫のように湧いて、私の頭の中で蠢いているのだ。 それは、「ティー( ที่ )は本当に関係代名詞でいいのか」というものだ。
 以前、 次のように書いたことがある。

 コン・ティー・ルー・チャイ( คนที่รู้ใจ )

 コンは「人」、ルーは「知る, 知っている」、チャイは「心」だ。ティーは英語の関係代名詞(主格)にあたる。つまり、「心を知っている人」になる。 自分の心の内をよく知ってくれている人。すると、友達以上恋人未満ということか?よく考えたら、日本語でも「気心の知れた人」と言ったりする。
 単なる「知り合い」なら、コン・ティー・ルーチャッ(ク) ( คนที่รู้จัก )だ。

 いわゆる(英語の)関係代名詞というのは、直前の名詞・代名詞(先行詞)の代わりをする代名詞の働きをし、先行する節に係るという関係を示すものだ。上の場合、コン「人」が先行詞ということになり、敢えて英語に直訳すれば、 a person who knows (my) heart だ。
 「送っていただいてありがとうございます。」のコー(プ)・クン・ティー・マー・ソン( ขอบคุณที่มาส่ง )も、送ってくれたのはクン「あなた」だから、「主格」の関係代名詞として説明できる。それでは、次の表現はどうだろうか。
 コー・トー(トゥ)・ティー・ロッ(プ)・クアン(ขอโทษที่รบกวน)
 「迷惑をかけてすいません。」というこの文には、先行詞がない。謝るのは「あなた」に対してであり、「私」が「あなた」に迷惑をかけたのだから、ティー( ที่ )を「目的格」の関係代名詞と解し、コー・トー(トゥ)・クン・ティー・ポム・ロッ(プ)・クアン という文のクン「あなた」とポム「私」の省略と考えるべきなのだろうか。
  クン・カオチャイ・ティー・ポム・プー(トゥ)・マイ( คุณเข้าใจที่ผมพูดไหม )
 「私の言うことがわかりますか?」という文にも、先行詞にあたる「こと」がない。このティー( ที่ )などは、関係代名詞の what ( = the thing which , the things which )に相当するのだろうか。
 接続詞 that のような働きをするワー( ว่า )の用法との違いは分かるが、ティー( ที่ )が出てくる度に、頭の中の虫がもぞもぞと騒ぎ出すのである。
 もっとも、タイ語は英語と違い、中国語と同じ格変化を持たない孤立語に分類されるのだから、考えるだけ無駄なのかもしれない。 しかしそれなら、「関係代名詞」という呼び方は適切ではないようにも思うのだが。