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2009年10月26日月曜日

関係代名詞 ที่ に物申す


 
 タイ語の辞書を眺めていたら、「オナニーをする」という見出し語に目が行った。チャッ(ク)・ワオ( ชักว่าว ) とある。あれ?どこかで聞いたようなと思い、記憶を頼りに別の本のページを括ってみた。あった。「たこ(凧)を揚げる」と載っている。タイ文字も間違いなく同じだ。きっと、「男が」ということだろう。日本語だと「テントを張る」だろうか。思いがけない発見で、なんだか得をしたような気分になった。「女が」も知りたくなったが、残念ながら見当たらない。もしかしたら、女も「凧揚げ」をするのかもしれない。
 「枕」はここまでにして、本題に入ろう。最近ある疑問が虫のように湧いて、私の頭の中で蠢いているのだ。 それは、「ティー( ที่ )は本当に関係代名詞でいいのか」というものだ。
 以前、 次のように書いたことがある。

 コン・ティー・ルー・チャイ( คนที่รู้ใจ )

 コンは「人」、ルーは「知る, 知っている」、チャイは「心」だ。ティーは英語の関係代名詞(主格)にあたる。つまり、「心を知っている人」になる。 自分の心の内をよく知ってくれている人。すると、友達以上恋人未満ということか?よく考えたら、日本語でも「気心の知れた人」と言ったりする。
 単なる「知り合い」なら、コン・ティー・ルーチャッ(ク) ( คนที่รู้จัก )だ。

 いわゆる(英語の)関係代名詞というのは、直前の名詞・代名詞(先行詞)の代わりをする代名詞の働きをし、先行する節に係るという関係を示すものだ。上の場合、コン「人」が先行詞ということになり、敢えて英語に直訳すれば、 a person who knows (my) heart だ。
 「送っていただいてありがとうございます。」のコー(プ)・クン・ティー・マー・ソン( ขอบคุณที่มาส่ง )も、送ってくれたのはクン「あなた」だから、「主格」の関係代名詞として説明できる。それでは、次の表現はどうだろうか。
 コー・トー(トゥ)・ティー・ロッ(プ)・クアン(ขอโทษที่รบกวน)
 「迷惑をかけてすいません。」というこの文には、先行詞がない。謝るのは「あなた」に対してであり、「私」が「あなた」に迷惑をかけたのだから、ティー( ที่ )を「目的格」の関係代名詞と解し、コー・トー(トゥ)・クン・ティー・ポム・ロッ(プ)・クアン という文のクン「あなた」とポム「私」の省略と考えるべきなのだろうか。
  クン・カオチャイ・ティー・ポム・プー(トゥ)・マイ( คุณเข้าใจที่ผมพูดไหม )
 「私の言うことがわかりますか?」という文にも、先行詞にあたる「こと」がない。このティー( ที่ )などは、関係代名詞の what ( = the thing which , the things which )に相当するのだろうか。
 接続詞 that のような働きをするワー( ว่า )の用法との違いは分かるが、ティー( ที่ )が出てくる度に、頭の中の虫がもぞもぞと騒ぎ出すのである。
 もっとも、タイ語は英語と違い、中国語と同じ格変化を持たない孤立語に分類されるのだから、考えるだけ無駄なのかもしれない。 しかしそれなら、「関係代名詞」という呼び方は適切ではないようにも思うのだが。

1 件のコメント:

  1. 男は凧を揚げる。
    女は魚釣りをするです。
    糸を上下にあげさげする様子と似ているんでしょうか?
    ตกเบ้ด(魚釣りをする)。

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