ページ

2009年1月31日土曜日

体験的タイ語会話 バンコク発



 タイ語を学ぶのに何か良い本はないか、と尋ねられることがある。そんな時、私は決まって「体験的タイ語会話 バンコク発」を薦める。どこがいいかというと、まず第一に、語学書でありながらとても面白い。第二に、すごく実践的である。
 私もタイ語が話せなかった頃に、知人に薦められて買った。カセットブック版を買って、何度も繰り返し聞いた。今でも、会話場面のいくつかのフレーズが耳に残っているくらいだ。女の子と二人で洒落たレストランに入った時、バンコックでアパートを借りた時、マッサージ嬢と話した時、恋人と喧嘩した時などに、私はこの本で覚えたフレーズをそのまま使うことができた。
 初めての食堂に入った時、並んだ大鍋を見ながら、ミー・アライ・バーン(มีอะไรบ้าง どんなものがありますか。)と言うと、予想した通りに、ミー・ラーイ・ヤーン・カ(มีหลายอย่างค่ะ いろいろあります。)と店の女の子が言う。そんなやり取りを見て、一緒にいる日本人の知人が、「タイ語がうまいんだ。」などと感心する。
 この本の会話場面と『覚えておかなければ損する付録』を覚えれば、かなりタイ人と話ができると思う。

  (私が使っていた古い版)

「体験的タイ語会話 バンコク発」

著者:大前 智之(オオマエ トモユキ)  
出版社:(株) ユニコム

本書は語学専門家ではない著者が、庶民レベルの会話を中心に、初心者にもわかりやすく解説した画期的なタイ語学習書。

[目次]
タイ語の修得術
会話1 まずはタイ料理にしたづつみ
会話2 バンコクでの滞在
会話3 夜の街を探索
会話4 バンコクが拠点
会話5 タイ人をもっと知りたい!
会話6 日常生活の中で
会話7 避けて通れない電話での会話
覚えておかなければ損する付録

2009年1月30日金曜日

レーオ・テー再考

 前回のブログの内容に関して、コメントをいただきました。失礼して抜粋して載せさせていただき、私なりの考えを書いてみたい思います。



 コメント: 今回の「レーオ・テー」ですが、相手を見放すというイメージがあるということですが、それでは、英語のup to youとニュアンスが似ている表現はありますでしょうか?



 レーオ・テーのレーオは、助動詞の用法としては「すでに~した」 という完了の意味を表し、接続詞の用法としては「そして、それから」という意味を表す。一方、レオー・テーのテーは、接続詞の用法としては「しかし」、群前置詞の用法として、タン・テーで「~から、~以来(時間の起点)」という意味を表す。
 どうだろうか。一見して相容れないこの二つの単語が結び付いたレーオー・テーを文字通りに直訳しようとすると、「もう終わっちゃったんだけどなぁー」などという意味になってしまう。レーオ・テーと言われて、突き放されたような、放り出されたような気持になるのは、この単語レベルの辞書的意味に起因しているように思われる。
 英語の It's up to you. の場合、up to の第一義的意味は「…まで; …に達して」であり、そこから「…に適して, 匹敵して」というような意味が出てくる。だから、 It's up to you to decide what to do next? (次に何をやるべきか決めるのはあなた次第だ。)と言われても、別に「相手を見放す」というイメージは浮かばない。会話の場面では、この言葉のすぐ後に If you like, you … と続くことが多い。一任しても決してほったらかしにしたわけではない。



 以前タイ人の家に居候していた時、近くの美容院で散髪してもらって帰ってくると、その家の中学生の娘が自分も髪を切りたいと言う。もう一度美容院まで一緒に行き、彼女が髪を切ってもらっている間椅子に腰かけて待っていたのだが、途中彼女が「髪を洗ってもらってもいい?」と尋ねた。私の懐具合を気にしたらしいのだが、私はこの場面でレーオ・テーとは言わなかった。レーオ・テーと言うと(実際には、そんなことはないのかもしれないが)何だか冷たいようで嫌われるのではないかと思った。それでは何と答えたかというと、ター・ヤーク・ラーン・ポム・コー・チャ・ラーン(洗いたければ洗いなさい。) と言った。ター・ヤーク(ถ้าอยาก)というのが「もし~したいなら」という意味である。英語だと If you want … や If you like… に当たる表現だ。この方が寛大に聞こえないだろうか。あくまでも私個人の見解で、私のタイ語のレベルでは何とも言えないが、 It's up to you. If you like, you … の後半のみを言った方が、かえって英語の up to you の感じに近くなるように思うのだが。

2009年1月29日木曜日

แล้วแต่ あっしには関わり合いのねえこった?

 このブログは、レーオ・テー・アーロム(แล้วแต่อารมณ์) で書いている。
レーオ・テーは「~次第」、アーロムは「機嫌」 とか「気分」という意味である。
 会話ではよく、レーオ・テーとだけ端折って遣われる。端折るということは、言わなくても相手には分かるということだから、「(今話題にしていることの)状況次第」というような意味になるのだろう。しかし、このレーオ・テーは、「あなた次第」という意味でも頻繁に遣われる。英語にも It's up to you. という表現があるが、レーオ・テーがそれと違うのは、今話題になっていることをを投げ出して相手に委ね、自分は関わりたくないから「お前の勝手にしたら」というニュアンスを持っていることだ。だから、レーオ・テーと言われると、話相手から見放されてしまったような気分になるのだ。



 タイにいる間も、楽しいことばかりとはかぎらない。トゥクトゥクの運ちゃんとの値段交渉や飲み屋の勘定や対人関係などに気分を害するということはあるものだ。「ムカつく」はアーロム・スィア(อารมณ์เสีย)と言う。今度ムカついた時には是非遣っていただきたい。 それを聞いて、もし相手が機嫌を損ねて喧嘩になりそうになったら、今度はアオ・チャイ (เอาใจ 機嫌を取る)した方がいいかもしれない。

ชื่อเล่น 遊びすぎのチュー・レン?

 タイ人のチュー・レン(ชื่อเล่น ニックネーム)はとてもバラエティーに富んでいる。チューは「名前」でレンは「遊ぶ」、つまり文字通りだと「遊び心で付けた名前」がチュー・レンだが、本名が日常生活で使われることはめったにないため、日本のあだ名(本名以外の別名)とは意味合いが少し異なる。それにしても(変えることもできるのかもしれないが)、おそらく一生付きまとうことになるニックネームなのに、あまりにいい加減に付けてしまっているように思われてならない。抽象名詞を含む普通名詞や形容詞など何でもありで、英語も用いられる。
 カーフェーと呼ばれる、数人の女性歌手が交替で舞台に上がって歌う飲み屋がある。昔、そこでハイネケンビールのセールスガールをナンパした。その時彼女に名前を聞いたら、紙に「B」と書いて寄こした。ビー(bee 蜜蜂)の意味だと理解したが、そのまま A, B, C の B だったのかもしれない。実際に、「B」と名付けている親もいるらしい。ビーム(beam 光線)という名前の女の子も知っている。
 タイの映画を見ていると、いろんなチュー・レンが出てくる。スアイ(สวย 美しい、きれいな)やプーン(ปืน ピストル)など、挙げればきりがない。普通に考えれば、親はよく考えてわが子に良い名前を付けそうなものだ。タイに住んでいる日本人女性が、産まれた女の子にカノム(ขนม お菓子)と名付けたという文章を何かで読んだ記憶がある。意味も音の響きもとてもかわいらしいチュー・レンだと思った。それに比べ、ウアン(อ้วน デブ )とかムウ(หมู ブタ)と名付けられてしまった女性は、はたして親を憎まないのだろうかと疑問に思ってしまう。しかも、これらがチュー・レンの人気ランキングに入ってくるとなると、頭を抱えてしまうのだ。
 一方、男性にはエーク(เอก)という、いわゆる「いい名前」の人も多い。エークは文語の「一」で、「一級の、最高の」という意味を持っている。因みに、文語の「二」はトー(โท)と言い、なぜかこれだけは電話番号でソーン(สอง 口語の2)の代わりに使われることがある。

2009年1月23日金曜日

ท่านทั้งหลาย みなさん!

 日本語には人称代名詞の数が極めて多い。共同体の観念、同族意識の強い民族性を反映し、「自」と「他」、「ウチ」と「ソト」とを区別して使い分ける言葉が非常に多い言語とも言える。英語を教えていると、例えば「彼女は、自分の部屋を掃除した。」を英語に訳す場合に、She cleaned my room. としてしまう生徒が結構いる。「自分」という言葉は再帰的な代名詞でその文の主語と一致するということが、日本人でもあまり意識されていない証拠だ。「自分」にはもともと人称がない。だから、「自分」という言葉には一種の曖昧性が含まれているのかもしれない。更に言えば、「私は」というところを「自分は」と単数一人称で使っている時には、意識的にせよ無意識的にせよ、自己を曖昧にして 客観視するという狙いがあるのかもしれない。
 前置きが長くなったが、私が最近気になっているタイ語の人称代名詞がある。日本語ほどではないが、タイ語にも多くの人称代名詞や呼称がある。マン(มัน 芋・油)に「あいつ」(動物などを指して「それ」)という意味があることは以前書いた。そして、ヌウ(หนู ねずみ)が二人称の呼称(一人称呼称)に使われることにも少し触れた。気になっているのはタン(ท่าน)という人称代名詞だ。このタンという代名詞は、(親しくない)目上の人やお客に対して「あなた」で使ったり、「あの方」という意味で使ったりする。もうひとつ、トゥー(เธอ)という代名詞があり、これは「彼女」で使ったり、親しい友人や恋人の間で「きみ」で使ったりする。 この二つの代名詞に共通しているのは、両方とも二人称にも三人称にも使えることだ。タンはタン・タン・ラーイ(ท่านทั้งหลาย)で「みなさん!」という呼びかけでも使うので、あえて話し相手を第三者の立場「あの方」に置き換えることで、敬い高めるのだろうか。また、トゥーは「彼女」に当たる言葉を相手に使うことで、親しみを込めるという効果があるのか。
 ニュージーランドに留学中の一時期、ニュージーランド人の一家の離れを借りて住んでいたことがある。私の部屋には電話がなかったので、たびたび友人たちから母屋の方に電話が入った。そのことを詫びると、まだ若い旦那がこう言った。She is all right. その後も、こちらが何か礼を言ったり詫びたりすると、彼は決まって She is all right. と言った。友人のニュージーランド人にこの She の使い方を聞いたら笑っていた。かなりトッポイ表現のようだ。もしかしたら、タイ語のトゥーと共通する面があるのかもしれない。
 血縁関係の有無に関わらずにピー・ノーン(兄弟姉妹 พี่น้อง)を呼称に使ったり、婚姻関係に関係なくフェーン(恋人や配偶者 แฟน)と呼んだりするタイ人は、日本人よりも「曖昧」を好む民族なのかもしれない。

2009年1月20日火曜日

ソースはソー(トゥ)?

 タイ語にも、ちろん外来語がある。単に外来語と言ってしまうと、タイ語の中に外来語が占める割合は三分の二にもなるそうだ。日本語の語種の分類だと、外来語と言うと主にヨーローッパ諸言語からの借用語(洋語)を意味し、中国語からの借用語は漢語と呼び区別する。また、明治以後に入って来たラーメンやギョウザなどは、漢語には含めずに外来語とする。タイにそれほど外来語が多いのは、多くの民族が流入した歴史があるためで、サンスクリットやパーリ語のインド系言語やクメール(カンボジア)語を含めた外来語だからだ。しかし、今問題にしたいのは、タイ語の中の西洋からの借用語である。


 「コンピューター」はコームピウトゥーと言い、英語名をタイ語表記して用いている。コンプゥーター用語の多くがそうだ。「コーヒー」はカーフェーで、フランス語を語源とする。「オートバイ」はチャックラヤーン・ヨンだが、口語ではモーターサイクルを略してモートゥーサイと言い、バイクタクシーの意味でも使う。「テレビ」はティー・ウィーで、トーラタッ(トゥ) が書き言葉 である。「パスポート」は パー(トゥ)・サポー(トゥ)の口語とナンスウ・ドゥーン・ターン の書き言葉を使い分ける。日本語の「宿」(和語)・「旅館」(漢語)・「ホテル」(外来語)などは、口語、文語の使い分けというよりは指し示す対象が問題になってくるが、タイ語にもそういうイメージや概念で使い分ける言葉もたくさんあるに違いない。


 タイ語には[v]の音がないため[w]で代用するようだ。また、無声歯茎破擦音[ts]の発音もない。だから、私の名前はこの[ts]の音を含むので、欧米人同様にタイ人も私の名前をなかなか覚えてくれない。飲み屋の姉ちゃんは勝手に私をエッグ(egg)とかエイ(A)とか呼んでいる。[ts]は[s]で代用し、「津波」はスナーミになる。付け加えると、外来語の中には、タイ文字表記が統一されていない言葉も多いそうだ。


 タイ語では音節の頭に置かれる頭子音は21あるが、音節の最後に置かれる末子音は9種類しかない。その結果どういうことが起こるかと言うと、例えば、英語のsauce(ソース)の発音をタイ文字に置き換えてซอส とする。この時最後の子音字สは頭子音では[s]だが、末子音の発音は[t]のため、 という発音になってしまう。そして、末子音に[s]の音はない。「クリスマス」 も同じように、クリッ(トゥ)・マー(トゥ) になる。 同じ理由で、「ホテル」はホーテンと単語の最後の発音が変わってしまう。


 そういう訳で、「セブンイレブン」はセーウェン・イーレーウェン、「マクドナルド」はメッ(ク)・ドーナン になってしまう。もっとも、日本人がアメリカあたりで「マクドナルド」と発音しても絶対に通じないと思うので、似たり寄ったりかもしれない。
 それでも、タイ人と会話をしていて単語が分からなかったら、黙っているよりは英語で言ってしまった方がよい。相手にもよるが、結構理解されるかもしれない。一応、小学一年生から学校で英語を習っているのだから。

2009年1月17日土曜日

มาม่า マーマー?

 タイ語でインスタントラーメンのことをマーマーมาม่า と言う。スコッチテープのことをセロテープと呼ぶように、マーマーは商標名だが、インスタントラーメン一般を指して使われる。


 
 ポテトチップス、フライドポテトのことをマン・ファラン・トー(トゥ)มันฟรั่งทอด (油で揚げたジャガイモ)と言うそうだが、コンビニなどで売っている袋詰めのポテトチップスはレーเลย์ と言う。これも商標名だ。

 ついでに、かっぱえびせんはハーナーミฮานานิ だ。そらく「花見」のことだろう。