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2009年3月27日金曜日

ด้วยกัน ドゥアイ・カンと蚊取り線香

 英語の冠詞や前置詞などのように、簡単な単語ほど、意味や用法が複雑で厄介なものである。日本語でも、例えば、「結構」という日常よく使う言葉は、外国人をしばしば悩ませる。 タイ語にもそういう厄介な単語がある。



 まず、ドゥアイ(ด้วย)という単語が紛らわしい。もう、ずいぶん前のことだが、当時付き合っていたタイ人女性から、毎週エアメイルが届いた。辞書を片手に読んでみると、ドゥアイがたくさん出てくる。「~ドゥアイ」は「一緒に~する」という意味だから、「そうか、そんなに俺と一緒にいたいのか。」と思っていた。しかし、手紙の中のドゥアイはすべて、「~して下さい」という敬語表現で使っていたことに、後になって気付いた。日本語同様、タイ語では主語の省略が容易なため、今でも、「どっちの意味だろう。」と考えてしまうことがある。
 「一緒に~する」は、主語が単数の時には「~ドゥアイ」だが、主語が複数の時には、「~ドゥアイ・カン」と、カン(กัน 互いに~する)という単語をを付けなければならない。


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 このカンがまた、紛らわしい。カンにはもう一つ、「防ぐ」という意味があるからだ。例えば、ヤー・カン・ユン(ยากันยุง 「薬」+「防ぐ」+「蚊」)は普通、「蚊取り線香」のことを指す。ロッ(トゥ)・チョン・カンで(รถชนกัน 「車」+「衝突する」+「互いに~する」)は「車が衝突する」という意味だが、カン・チョンと語順を変えると、車の「バンパー」という意味になってしまうのだ。



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 また、ドゥアイには前置詞としての用法もあり、「ドゥアイ~」で「~でもって,~を使って」と、道具・手段・材料を表す。具体的な普通名詞だけでなく、「ドゥアイ+抽象名詞」で副詞句を作る。英語の with の用法に近いだろう。

2009年3月12日木曜日

小さいがネズミの糞のトウガラシ

 ネーム(もち米などの入った、タイの豚肉ソーセージ)にもいろいろな種類がある。見た目はちょうどサラミソーセージに似ていて、コンビニなどで売っている。
 チェンラーイからチェンマイ行きのバスに乗った時のことだ。途中、休憩所の売店で、連れのタイ人女性がネームを買った。再び走り始めたバスの車内で、彼女がビニールをはがしたネームを私に手渡した。一齧りして5秒と経たぬ間に、口の中で大爆発が起きた。口を大きく開けてハアハアと喘いでいる私を見て、周りのタイ人たちは大笑い。隣の彼女は涙を流して笑い転げている。よく見ると、ネームの所々に緑色の粒々が入っている。

 プリッ(ク)・キー・ヌウ(พริกขี้หนู 「トウガラシ」+「糞」+「ネズミ」)だ。大きな唐辛子はそれほど辛くない。小さい奴ほど注意が必要なのだ。「小柄で喧嘩っ早い人」のことをレッ(ク)・プリッ(ク)・キー・ヌー(เล็กพริกขี้หนู レッ(ク)は「小さい」)と言う。
 「ネズミ」ついでにもう一つ。ヘッ(トゥ)・フウ・ヌウ(เห็ดหูหนู 「キノコ」+「耳」+「ネズミ」)が何だかお分かりだろうか。答えは「キクラゲ」。思わず、「座布団一枚!」と言いたくなる。

2009年3月11日水曜日

มังกร マンコーン

 以前、東京のある下町の葬祭場で、「竜」のタイ語が分からずに、居合わせたタイ人女性に尋ねたことがある。「蛇の大きいやつ」と言ったら、「マンコーン」だと教えてくれた。「マンコーン?」と聞き直すと、「チンチン(本当に)」と答えた。
 「竜,ドラゴン」はマンコーン(มังกร)。マンコーンを使った複合語も多い。クン・マンコーン(กุ้งมังกร 「エビ」+「ドラゴン」)で「ゴシキエビ(大型のエビ)」。リン・マンコーン
(ลิ้นมังกร 「舌」+「エビ」)で「パッションフルーツ」。
 そして、極めつけは、ケーオ・マンコーン (แก้วมังกร 「ガラス」+「ドラゴン」)だ。「ドラゴンフルーツ」のことをそう呼ぶのだが、その説明書きを見て驚いた。
 「外側はピンク色のヒレのようなものでおおわれている。中の果肉は白色で、イチゴのような小さな種がある。味は外見とは違い上品に甘酸っぱい。」(「暮らしのタイ語単語7000」 語研 p.99)


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2009年3月5日木曜日

แมงดา タガメが情夫?

 最近は健康食ブームで、バンコックの若者たちも虫を食べるらしい。バンコックのカオサン通りでサソリ(แมงป่อง)を売っていた。他の虫よりも高級で、一匹20バーツだったと思う。
 タガメは臭いの強いオスの方が人気がある。内臓をすり鉢で潰して、スープに入れたりする。 タガメはメーン・ダー(แมงดา)だが、紐(情夫)の意味でも使うのは面白い。


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 竹の中に棲む蛾(タケットガ)の幼虫も人気のメニューだ。通称ロッ(トゥ)・ドゥアン(รถด่วน 急行列車)とかノーン・ロッ(トゥ)・ファイ(หนอนรถไฟ 「幼虫」+「列車」)と呼ぶ。何度か勧められたことがあるが、どうしても釣り餌のサシ虫を想像してしまうので、食べることができない。
 チェンマイのピン川に架かる橋の上から釣りをしたことがある。光に集まって来た羽虫がそこいらじゅうに落ちていて、それを拾い集めている人たちがいた。釣り餌にするのかと思ったら、炒って酒のつまみにするのだと聞いた。
 タイ人の女の子とキスをする直前に、「今日、虫食べた?」と聞きたくなるのは、私だけだろうか。

2009年3月4日水曜日

せ・ま・く・て?

「ターケヤァ~、サオダケェ~♪」
 以前はよく、物干し竿の販売車が家の前を通った。サオ (เสา)は「柱」という意味で「竿」と「柱」で覚え易い(と思う)。
 アオ・カン(เอากัน 互いに求め合う)は「性交渉」を意味するが、これが日本語の「青姦」とたまたま発音が同じであるため、「部屋じゃダメなの?」と思っちゃった日本人がいたという笑い話は、あまりにも有名だ(と思う)。


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 タッ(ク)・バー(トゥ)(ตักบาตร 「(ご飯を)よそう」+「鉢」)は「托鉢」で、これは語源が同じだから発音も似ている。但し、タイ語のタッ(ク)・バー(トゥ)は「食べ物をよそって、僧の持つ鉢の中に入れる」ことを意味する。サンスクリット語かパーリ語が語源ではないだろうか。
 いきなりタイ人に「セマクテ、セマクテ」と言われて、首をかしげる日本人が結構いる。日本人が「狭くて」を連呼するTVのCMがあったそうだ。「セー・マー・クッ(トゥ)・テ」はタイ語だと、「近づいてきたら蹴っ飛ばすぞ!」とか「(酔っ払って千鳥足で)近寄って来たら、蹴りを入れてやる!」という意味になるらしい。言う側に悪意はなく、日本人をからかっているのだ。(「セー」=割り込みする,ふらふらと千鳥足で歩く ; お前、「マー」=来る、「クッ(トゥ)」=穴を掘る ; 俺、「テ」=蹴る」)


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 「きく あのね」というのもある。 「日本人の女の子のように可愛いらしい」という意味のタイ製日本語らしい。 「きく」は女の子の名前?で、「あのね」は日本人の常套語だとか。昔、「きくあのね」という歌が流行った事があり、「あのね1」という日本人アーティストの曲を集めた海賊版のCDも売られているようだ。


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我儘な女は言い訳が好き?

 「嫌いな女性は?」と聞かれたら、「我儘な女。」と答える。我儘な女は手に負えない。どんなにかわいらしい顔をしていても、絶対に嫌だ。「我儘な」は英語だと selfish だが、なんだか self と fish がくっついたみたいで、魚の名前のようだ。


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 タイ語で「我儘な」は、ヘン・ケー・トゥア(เห็นแก่ตัว)または、アオ・テー・チャイ・トゥ(เอาแต่ใจตัว)と言う。それぞれの単語の意味を考えると、なぜ「我儘な」になるのか分からないのが、タイ語の造語法とは概してそんなものだ。
 声調の違うケー・トゥア(แก้ตัว)は「言い訳をする」という意味だ。まあ、我儘な女というものは、えてして言い訳をするものだから、一緒に覚えておこう。



2009年3月1日日曜日

ขี้เกียจ なタイ人?

 タイ語の長いコメントを残されると、その「解読作業」が結構大変だ。まず、タイ語は分かち書きしないため、単語の区切りが分からないということがよくある。隠れた母音を考えながら理解できる単語を探し、残りをオンライイン辞書などで調べていくのだが、これが一仕事だ。タイ語の文章を日本語へ翻訳する(フリー)ソフトがあれば、とても便利だと思うのだが、今のところ無いらしい。タイ文字を入力して検索すると、そのページを日本語に翻訳できる。だから、そういうソフトがなぜ無いのか不思議だ。また、日本語の文章を入力するとタイ語に変換してくれるサイトがあるが、おかしなタイ語が出て来てしまうので、あまり使えない。



 「面倒くさい」は英語だと troublesome と言い、大変覚えやすい。タイ語で「怠惰な,面倒くさい」はキー・キアッ(トゥ)(ขี้เกียจ)と言う。タイ人と一緒にいるとしょっちゅう耳にする、頻出語だ。