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2009年11月1日日曜日

ให้ を斬る


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 読者から(ให้ ) についてのご質問をいただいた。確かに曲者だ。私なりに、基本的な意味・用法をできるだけ記憶に残るかたちで探ってみようと思う。

(1) give 系( ให้ ) 「あげる」 「くれる」

 授与動詞の give が目的語を二つとる場合、間接目的語(~に)+直接目的語(~を)の語順になる。 I gave him a present. 「私は、彼にプレゼントをあげました。」
 タイ語では、この二つの目的語の語順が逆になり、( ให้ )+と言う。
ポム・ハイ・コーン・クワン・カオ( ผมให้ของขวัญเขา )
 但し、「人に金額(~円、~バーツなど)をあげる」と言う時には、( ให้ )+金額になる。これは、( ให้ )+(お金)金額の「お金」が省略された表現である。
ポム・ハイ・ングン・カオ( ผมให้เงินเขา ) 「私は、彼にお金をあげました。」
ポム・ハイ・カオ・ソーン・ローイ・バー(トウ)( ผมให้เขาสองร้อยบาท ) 「私は、彼に 200 バーツあげました。」

【補足】

 「もらう、受け取る」は、を使う。 get , receive に相当する。

(2) make 系( ให้ ) 「(…)させる」

 使役動詞の make は、make+目的語+do で「<人・物に>(…)させる」 という強制・使役の意味で用いられる。
I made him work. 「彼に働かせた。」
 タイ語でも、「AはBに~させる」は、 A+( ให้ )+B~と言う。
ポム・ハイ・カオ・タム・ンガーン( ผมให้เขาทำงาน )
 英語の make との違いは、A (主語)が人間に限られることだ。
This story made him cry. 「この話は、彼を泣かせました。」
 この文の主語は人間ではない。主語が人でないとき、make に強制の意味はない。彼は、何らかの話を読むか聞くかして泣いたのであって、強制されて泣いたわけではない。 タイ語で同じことを言うと次のようになる。
ルアン・ニー・タム・ハイ・カオ・ローン・ハイ( เรื่องนี้ทำให้เขาร้องไห้ )
 主語が何かにかかわらず、「AはBを~(の状態)にする」は、A+(ทำให้ )+B~ と言わなければならない。英語の cry は状態動詞ではないが(日本語の「泣く」も状態動詞ではない。)、タイ語では、「泣く」や「驚く」などは状態と捉えるようだ。ニュアンスとしては、「泣くように仕向ける」だ。「料理をおいしくする」など、B には形容詞も置かれる。

【補足】

は「私に行かせてください。」 だから、使役動詞の let (許可・容認) に似ている。

(3) and 系( ให้ ) 「~して…にする」 「…になるように~する」

 動詞+(目的語)++形容詞の語順で用いられる。時間的な順序・結果を示す and と、意味の上で似ているかもしれない。
タッ(トゥ)・ポム・ハイ・サン( ตัดผมให้สั้น ) 「髪を短く切る」
ケー・ハイ・トゥー(ク)( แก้ให้ถูก ) 「正しく直す」

(4) for 系( ให้ ) 「~に」 「~のために」

 「~に…してあげる」や「~に…してくれる」といった、行為の授受を表す文で使われる。前置詞としての用法だ。
He bought a watch for me. 「彼は、私に時計を買ってくれました。」
カオ・スー・ナーリカー・ハイ・ポム ( เขาซื้อนาฬิกาให้เผม )

【補足】

 英語では、相手がいなければ成立しない動作の場合は to を使う。
 授与の方向を示すときには、(~に対して)や(~に)も用いられる。


【注】 一人称と二人称の代名詞は省略されることが多いが、混乱を避けるために省略なしの文を載せた。 会話では、「買ってあげる」とか 「おごってあげる」のような表現が目立つ。 また、を含む慣用表現も割愛した。

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