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2009年2月19日木曜日

UKEMI?

 「私は、お金を盗まれた。」を英語に訳すとどうなるだろうか。
 日本人の間違えで一番多いのが、I was stolen my money. という文。これでは「私が盗まれた」ことになってしまい、更に was stolen が構文上浮いている。
 少し英語ができる人なら、My money was stolen. とするだろう。いわゆる受動態(受け身形)の文で、中学二年生レベルだ。
 英語に自信のある人なら、 I had [got] my money stolen. と答えるかもしれない。経験受動態(被害の受け身)の文で、大学受験レベル。



 さて、アメリカかどこかの学生に、「お金を盗まれた時に何と言うか。」というアンケートを行ったそうだ。その結果、圧倒的に多かったのが、Someone stole my money. だった。能動態の文だ。ネイティブスピーカーは、受け身の表現よりも [s]+[v]+[o] の意識の方が強い。
 I had [got] my money stolen. という経験受動態(被害の受け身)の文は、後になってから回想的に述べるのに遣うのであって、例えばホテルで盗難に遭った時にフロントで遣う表現ではない。



 英語と違い、日本語は自動詞から受け身の文を作ることができる。「間接の受け身」表現のうちの一つで、「典型的な迷惑の受け身」になる。「雨に降られる。」、「人に来られる。」、「赤ん坊に泣かれる。」などがそれだ。
 こういう話は結構重要だと思うのだが、生徒たちに話しても、あまり興味を持ってくれない。



 タイ語で「お金を盗まれる(た)」は、トゥー(ク)・カモーイ・ングン(ถูกขโมยเงิน 「~される」+「盗む」+「お金」)と言う。話し言葉ではトゥー(ク) の代わりにドーン(โดน)がよく使われる。

 タイでは、受け身形は「被害」を表す時に遣う場合が多いのだそうだ。ということは、タイの学生に上記のアンケートを行ったら、英語のネイティブスピーカーとは逆に、受動態の文で答える者が圧倒的に多くなるのかもしれない。

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