前置きが長くなったが、私が最近気になっているタイ語の人称代名詞がある。日本語ほどではないが、タイ語にも多くの人称代名詞や呼称がある。マン(มัน 芋・油)に「あいつ」(動物などを指して「それ」)という意味があることは以前書いた。そして、ヌウ(หนู ねずみ)が二人称の呼称(一人称呼称)に使われることにも少し触れた。気になっているのはタン(ท่าน)という人称代名詞だ。このタンという代名詞は、(親しくない)目上の人やお客に対して「あなた」で使ったり、「あの方」という意味で使ったりする。もうひとつ、トゥー(เธอ)という代名詞があり、これは「彼女」で使ったり、親しい友人や恋人の間で「きみ」で使ったりする。 この二つの代名詞に共通しているのは、両方とも二人称にも三人称にも使えることだ。タンはタン・タン・ラーイ(ท่านทั้งหลาย)で「みなさん!」という呼びかけでも使うので、あえて話し相手を第三者の立場「あの方」に置き換えることで、敬い高めるのだろうか。また、トゥーは「彼女」に当たる言葉を相手に使うことで、親しみを込めるという効果があるのか。
ニュージーランドに留学中の一時期、ニュージーランド人の一家の離れを借りて住んでいたことがある。私の部屋には電話がなかったので、たびたび友人たちから母屋の方に電話が入った。そのことを詫びると、まだ若い旦那がこう言った。She is all right. その後も、こちらが何か礼を言ったり詫びたりすると、彼は決まって She is all right. と言った。友人のニュージーランド人にこの She の使い方を聞いたら笑っていた。かなりトッポイ表現のようだ。もしかしたら、タイ語のトゥーと共通する面があるのかもしれない。
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