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2009年1月5日月曜日

เฉยๆ ボーと?

 語彙の辞書的意味が分かっても、どんな風に使われるのか、その使用法に悩むということがある。外国人はその言葉のバックグラウンドを知らないからだ。つまり、談話テキストレベルでの理解が容易でない。タイ語学習者にとって、その最たるものがチュイ・チューイかもしれない。
 辞書を引くと、「平然と、無関心の、気にしない」などと載っている。どうもピンとこない。英語にするとどれも違う単語になってしまう。下川裕治氏は著書「タイ語でタイ化」の中でこう書いている。 

 チューイというのは「反応、感情、関心を示さない。意に介さない」と辞書では説明されているが、それをチューイチューイとつなぐと「じっと。別になんともない」といった意味になる。ユーは「いる」という意味だから、ユーチューイチューイでボーとしている、ということになるのだ。(「タイ語でタイ化」 p.28)
                


  なるほど、鋭い洞察力だと思う。さらに下川氏は、「ユーチューイチューイはボーとするなかでも最高峰に君臨するほどの状態を示すわけだから、もう言葉が出ないくらいなにもしない。本当に気が遠くなるほどボーとしてしまうのである。」(「タイ語でタイ化」 p.29)と続けている。
 私は数年前にこの本を読んだ時、やっとチュイチューイの謎が解けたと喜んだのであるが、それでも何かすっきりしないものがあった。いつも「ボーと」でいいのかと。何か違う日本語の表現はないものかと。



 チェンラーイのロボ・バー(後に「きずな」に改名)でマスターと一緒にビールを飲んでいた時、裏のソイ(路地)に並んだゴーゴーバーに警察の手入れがあった。一斉にネオンが消され、真っ暗になり、警官たちが懐中電灯を片手に店の中へと入っていく。当然、叩けば埃の出る女たちばかりだから逃げようとするが、完全に警官たちに囲まれてしまっている。すると、ゴーゴーバーの踊り子が何食わぬ顔で客を装い、ロボ・バーの隅のテーブルに座った。別の踊り子はこれも何食わぬ顔でソイから歩いて出ようとした。私がその踊り子に、「どこに行くの」と尋ねると、彼女はこう言ったのだ。
「ドゥーン・チュイ・チューイ」
 ドゥーンは「歩く」という意味である。だから、この時彼女は「チュイチューイと歩いていた」わけだ。私は間違いなくこの女は、「しらばっくれて」歩いていたのだと解する。

1 件のコメント:

  1. チュイ・チューイは色々な使い方があるんですね。

    私がタイ人から教わったのは、何もしない、つまり仕事を

    しないでゆっくりして暮らしている羨ましい生活をして

    いる状態をいうのだとの事でした。

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